「T-bridge」については、昨年4月にプレスリリースが公開されています。今回の発表は、講談社との具体的なビジネスプラン第1弾、といったところでしょうか。
(昨年のプレス発表時に、「T-bridge」については少しテキストを書きかけた状態で、そのままになっていたことに気が付いた。春はいつの年も何かとあわただしい。)
「T-bridge」によって何が実現されるるかというと、ようは、ドットブックやTTZのソースデータからダイレクトにオンデマンド印刷できる流れができた、ということを意味している。
この構想についてはずいぶん前から萩野さんは提唱していたし、技術面でも数年前には実現していたはずで、その成果物については「週刊ドットブック」で紹介されていたと記憶している。「デジタルデータは本の原液」といった表現をしていたハズだ。
印刷の現場に居合わせている者なら、印刷の源流がデジタルになって久しいという実感があるだろう(といっても20年前には想像もつかなかったことなんだけど)。
ただ、これまでのデジタルデータは「版下データ」などと呼ばれるように、印刷物の版下としての目的しか意識されていなかった。今後は、電子書籍と印刷物の双方を意識したデジタルデータ(TTX)が源流となり、必要に応じてどちらにも即利用可能となる…そんな筋道がこの数年で整いつつある。
正直、いまスグには、たいした意味がないかもしれない。が、この手のデータというものは、蓄積すればするほど意味を持ってくる。2年後、3年後には、もはやなくてはならない技術となることが予想される。
出版が劇的に変化するわけではない。しかし、雑誌やコミックがいつのまにかコンビニに並んでいるように、成人向け雑誌がいつのまにかテープで封印されてしまったように、携帯電話がメール端末からゲーム端末や音楽端末になっているように、変化はいつも知らないうちに訪れている。これはそのための基幹技術のひとつなのだ。