2005年07月12日

.Press/ドットプレス

「.Press/ドットプレス」なる新技術について、東京国際ブックフェアでデモがあったようです。
ドットブック専用タグの表記を簡略化し、専用サーバにアップロードすることでオンラインでドットブックが生成される仕組み…らしい。
本当にTTZではなくドットブックが生成されるのなら、いよいよ誰にでもドットブックをリリースする道が拓かれる、ということになる。
おそらく、ドットブック生成だけではなく、そのまま理想書店でのオンライン販売のルートも提供されるのだろう。
詳細は不明。ボイジャーのプレスリリースが待ちどおしい。
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2005年07月11日

Σブック、カラー試作機

ΣBookカラー版、試作機登場(ITmediaニュース)

東京国際ブックフェアから、いろいろと情報がでてきているようだけど、あまりがっついて収集していないので、これくらいしかブックマークできていないや。

さて、Σブックのカラー版なのである。とにかく色が付いていないと気に入らないという御仁のために、苦労して開発されたものだろうから、「いまどきモノクロ」などと批判していたみなさんは必ず買うんだろうなオイ、などと偉そうには言わないのである。
「ΣBookは大きすぎて片手で持てないという意見があったため、小型化にこだわった」と説明員。新機種は、文庫本サイズで300グラム以下を目指すという。ただディスプレイは、従来通り2枚にする可能性も残っているとした。
個人的には、シグマブックの大きさは、第1弾としてはあれでよかったと思う。重量についてはいかんともしがたいものがあったが、軽さと堅牢さを兼ね備えることがむしろ大事だろう。それにしても、まだ見開き表示にこだわっている人が約一名いるってことかしらん(笑) とはいえ、見開きページの漫画をそのままスキャンしてデジタル化するようなシステムをベースに作られたフォーマットの電子書籍が基本になっているから、単ページ構成のデバイスが定着していくとなると、そこには齟齬が生まれるという問題もあるわけで。

本来、電子書籍を表示するデバイス(ボイジャーの萩野氏いうところの“ビークル”)はスケーラブルであるべきだというのがぼくの考えだ。部屋の壁にドーンと投影するような大型の表示装置があってもいいし、腕時計やメガネに組み込まれるような極小のものがあったっていいのだ。むしろそうでなければ困る。

初代Σブックは電子書籍ビューワーに徹した構成が潔かったが、やはり「アレもコレもできないとね」などという御仁におどらされて、幕の内弁当化の道を歩むしかないようだ。アレコレ付けろと意見したみなさんは必ず買うんだろうなオイ、などと偉そうには言わないのであるが、そういうのを組み込むことで値段があがるのは当然なのだから、イタチごっことしか言いようがないわけで。
音声再生機能を備え、書籍の朗読や語学学習コンテンツの読み上げ、音楽再生などに活用してもらう。デジカメ画像ビューワーとしても使えるようにする予定だ。防滴仕様にし、お風呂でも使えるようにしたいという。
電子書籍の拡張としての「書籍の朗読」ってやつは分からんでもないけど、いくらなんでも音楽再生はナンセンスだなぁ、SDカードありきの機能と考えれば、そういうことにもなるかっていうところです。デジカメ画像ビューワーにもなるほどのカラーの階調表示が本当なら、それはそれでスゴイのでは? お風呂ニーズへの対応は…これもコストの問題をクリアしてから考えてほしいって気がするけど、こういった電子ツールも、生活防水ぐらいの堅牢さはほしいから、心意気は評価したいです。

「携帯電話のビジネスモデル」、つまり「1円」といった馬鹿馬鹿しい値段でハードを提供してしまうやり口を取り入れるべきだと前々から考えていたけど、ようやくそんな話もでてきたようです。
ΣBookは約4万円と高価だったことが、普及しなかった一因とも指摘されている。新製品の価格は未定だが、「個人的には、携帯電話と同じようなモデルで販売できればと思う」と説明員は話す。低価格な端末で普及を進め、コンテンツで稼ぐという選択肢もありそうだ。
ただ、これをやると、コンテンツやサービスでコスト回収しようとしてくるのだから、ヘンなところでユーザーが搾取されたりすることになる場合も考えられるから要注意なのよね。リブリエの時限制貸本なんてまさにそういうことだろうし。

ものは言いようだなぁと思ったのが写真画像につけられた次のキャプション。
斜め方向からは画像が見えにくい。「視野角は狭い方が、のぞき見されにくいためいいのではないか」(説明員)
これは実際そのとおりで、横方向の視野角は狭くてかまわないと思う。ただし、上下の視野角はたっぷりと確保してほしいというのが正直なところ。カラー液晶は特に、みる角度によって色が違って見えることがあるが、こと手に持って作業するデバイスに関しては、見る角度が上下で変わることが多いのだ。このことを認識してくれているのなら、この説明員の応酬トークにも納得できるが…。

ともあれ、Σブックは、T-Time が対応しているので、ドットブックも読めたりしますから、それはそれで安くてよい新機種がでるのはいいことだと思います。

あと、Σブックといえば驚異的なバッテリ持久力が特徴なんだけど、件の記事ではまったく触れていない様子。やっぱりカラーだとあんまり持たないのかしらん。
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2005年06月28日

2005年版『蔵書4670』CD-ROMは通販も受付中

青空文庫の公開作品4670タイトルを一枚のCD-ROMに納めた『蔵書4670』、東京国際ブックフェアで販売されるだけでなく、通販も受け付けているようです。

azur(あるいはT-Time)を持っていて、ネット環境が整備されている人なら、じつは買う必要ないシロモノなんですが、こういうのは、手元にあるとなにかとうれしいものだし、青空文庫のことを知らない人もけっこういるので、そういう方が相手なら、このCDのプレゼンテーション効果は大きいでしょう。ブックフェアという現場では、やはりモノの魅力というものがありますから、けっこう売れるのではないかと思われます。

ボイジャーのリリースページ
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2005年06月24日

ボイジャー、東京国際ブックフェア2005に出展

毎年4月に開催していたブックフェア。今年は7月開催だそうです。
『世界には、あなたの本を読みたい人がいる』というキャッチは、10年と少し前、エキスパンドブックをひっさげてボイジャー・ジャパンが生まれたときから変わっていない。
ボイジャーは、「あなたの本」をつくるための手段を用意してくれるけれど、その本の価値まで決めたりはしないし、「本とは…」といったことまで決め込もうともしない。なぐりがきのテキストを流し込んで保存するだけでも電子本はできてしまうわけで、そのよしあしまでを指南しない懐の広さは、ボイジャーのいいところなんだと思う。

ボイジャーのリリースページ
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2005年05月18日

『寺山修司』webマガジン、5月20日から

おお、ボイジャーったらいきなりナニを? と思う人もあるでしょうが、その昔、『書を捨てよ、町へ出よう』というCD−ROMがボイジャーからリリースされていたことを知る人にとっては、「なかなかやるね」とニヤリ。寺山修司生誕70周年記念企画、といったところでしょうか。

ちなみに、『書を捨てよ、町へ出よう』はいま見ても衝撃的な電子本。CD−ROMによるマルチメディアが大いに注目を集める中、これでもかとばかりにいろんなアイデアが込められている。まだエキスパンドブックは HyperCard 版しかなかった頃で、本作は、HyperCard をエンジンにして、まもなく姿をあらわす純正エキスパンドブックのさまざまな可能性が盛り込まれた意欲作だった。

『寺山修司』webマガジン
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2005年05月11日

週刊アスキーで松永玲子が「iPod photoで本を読む」

今発売中の週刊アスキー(5月24日号)、松永玲子女史がT-Time5.5を使ってiPod photoで電子書籍を読むことについてレポートしております。来週号に続報が掲載される様子。チェキ。
posted by 多村栄輝 at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月26日

ボイジャーのトップページ画像

ボイジャーのトップページ画像が小まめに更新されていて楽しい。…しまった、スクリーンショットでもとってコレクションしておくんだった。

いつから公開されていたのか、すっかり見落としていたのだけど、萩野正昭氏のテキスト「電子出版─やってきた朝焼けの向こう─」のPDFが公開されていた。このテキストは『ネットノベル・パーフェクトガイド』で読んだことがあったっけ。
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2005年04月21日

読書目的でデジカメを買う

冗談ではなく、いままさに、そういう時がやってきたのである。

エクシリムEX-Z55

ぼくはCASIOのエクシリムEX-55を使っているがこれはすこぶる快適だ。何よりもエクシリムは突出してバッテリの持続時間が長い。そして2.5型の大画面と、快適な操作性。ページめくりのタイムラグもまったく感じられない。本当にすばらしい。

いちばん読書に適したデジカメはどれだろう。3大要素をあげるとすれば、「小型軽量」「大画面」「長時間駆動」といったところか。

常時持ち歩くなら、さらに薄型のEX-S100がいいかもしれない。EX-S100のモニタは2.0型。画素数に対して、さほど画質の評判がよくないと言われているが、「小型軽量」「大画面」「長時間駆動」の点からすれば、抜きんでてコストパフォーマンスが高い。ヨドバシカメラで特価26400円(15%ポイント還元付き)、実質2万2千500円である。オンラインショップなら、もっと安く買えるだろう。

型落ちのエクシリムならどうか。モニタサイズが2.0型のエクシリムなら、EX-Z3EX-Z4でもいいだろう。これらはヤフーオークションで調べると、1〜2万円以下で落札可能だ。

小型軽量で大画面のデジカメは、最新機種だと5万円前後が相場になっているが、これらは市場価格を下げないために高画質化を続けているからで、読書のためのビークルとしては、そんな高いお金を払う必要はないのである。ほんの1〜2年前のモデルで十分なのである。

Σブックやリブリエは3万円以上する。あれらよりもはるかに多くのコンテンツを読むことが出来て(※)、さらに持ち運びに便利で、いざとなったらデジカメとしても使える(笑)。
我が家のデジカメは家族のものだから、読書用デジカメの購入は、かなりリアルな欲求なのである。

※)T-Time 5.5はHTMLやテキストファイルも書き出せる。世界中のオープンなコンテンツを自由に読書ビークルに入れて持ち出せるのだ。こんな芸当は、囲い込みのことしか考えていない専用端末にはできない相談だ。
posted by 多村栄輝 at 14:27| Comment(0) | TrackBack(0) | Note | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月19日

理想が現実になる日――理想書店がリニューアル――

T-Time 5.5のリリースにあわせて、理想書店がリニューアルされた。これまでの理想書店とはあきらかに違う意気込みを感じる。すべての本が「書き出し」機能に対応している、という売り方も分かりやすい。また、ほぼすべての本がドットブックプラグインによる立ち読みが可能である。

デバイスが消え去っても、元本のドットブックは確実にあなたの手元に残ります。
無料だ、無料だといってパケット代は着実に請求されるものとは違います。携帯で読んでいても、一切のチャージはありません。どうぞ心おきなく読書してください。
さりげなく書かれたこの一文は、ここ数年間、電子書籍市場がたどってきた狂想曲を軽やかに笑い飛ばす。

まだ多くの書棚が空いたままである。ここに来い、ここに読まれようとする本を並べてみせろと、理想を理想に終わらせない書店がにらみつけている。
posted by 多村栄輝 at 19:24| Comment(0) | TrackBack(0) | Note | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月15日

T-Time 5.5 という名のページをめくる冒険

先日、遅ればせながら T-Time 5.5 の「書き出し機能」を試した。書き出し先は、CASIOの EXILIM EX-Z55。とりあえずPC上に書き出すのかと思っていたら、「それらしいデバイスがつながってないですよ?」とアラートが出る。あらためてエクシリムをマウントしてから書き出すと、デジカメのメモリに直接データが書き込まれた。

エクシリムは大きな液晶を持ったデジカメの先駆で、小型デジカメの中ではバッテリの持ちがずば抜けて良いのが特徴。実際に、片手でページをめくっていくと、デジカメだったはずのそれが、まるで最初からそうであったかのように電子書籍のビークルとして機能する姿には、ちょっとした感動さえ覚えた。

実際に体験してみると、それまで見えていなかったことがパァッと頭の中にひろがってきた。なるほど、これは iPod と iTunes の関係(ビジネスモデル)の電子書籍バージョンなのだ。

iPod が爆発的に普及したその背景に、iTunes というすぐれた音楽データ管理ソフトの存在があることは、iPod & iTunes ユーザーなら誰もが理解していることと思う。iTunes がデスクトップ上でデータを管理し、iPod はそれを持ち出して利用するビークルになっている。電子書籍をビークルに載せるときに、ビークルそのものが電子データの入出力機能を備えていないかぎりは、メモリカードなり本体なりをPCに接続して、データを書き込む必要がある(※)。

※)携帯電話は例外的にデータの入出力…すなわちネットワークへの接続能力を持っている。また、PC上で管理するのではなく、キヲスク型のデータ書き込み端末を利用するといったビジネスモデルも過去に存在した。

PCで電子書籍データを管理する…ここがややこしい。PCの上では、すべてのデータファイルが一律に扱われる。スマートに電子書籍だけを扱うことができず、ひとつの壁になっている。ファイルを管理するのは、面倒なのである。自分の本棚を育てていくような楽しみがあるわけでもなく、無味乾燥なファイル名を与えられたデータをフォルダに保存していくような作業。メモリカードに書き込む操作も、その延長でしかないのだから、このプロセスが電子書籍にとって大きな足枷になっているのは間違いない。抵抗感がないのは、PCの操作を習熟した、ごく限られた人だけである(そうなんですよ、みなさん)。

T-Time は昨年リリースされたバージョン5から、「書棚」というウィンドウが用意され、ここでPC内にあるデータを一覧表示させることができるようになった。その当時にはエキスパンドブックですでに実現していた機能がようやく実装されたか、という印象しかなかったのだが、T-Time がPC内のブックをリストアップしてくれる、この恩恵は思いのほか大きい。

今は、ただリストアップするだけにすぎないが、iTunes とまではいかないまでも、書棚の上でタイトルを自由に並べ替えたり整理できるスマートな機能を、ボイジャーは開発するべきだと思う。

書棚からブックを呼び出し、サッと書き出して、ビークルで読む。この連携は、スマートで美しい。

T-Time は、PC用からスタートして、PocketPC 版やΣブック版が開発されてきた。また、Palm には Pook というソフトをパートナーにして普及をはかってきた。この活動の中で常にネックになってきたのは、「そのとき市場を見込まれるビークル」に対して、専用の T-Time やそれに類する環境を用意しなければならなかったということだ。その都度、アプリケーションの開発が必要になる。これは苦しい。かつて、どんなOSでも実行できるアプリケーション環境として期待されていた Java なんていうものもあるが、けっきょくのところ実行環境の違いによって互換性の問題はぬぐいされず、ユニバーサルなソフトウェア環境などというものはいまだに夢物語でしかない。

T-Time が担っている機能はハードルが高い。単にドットブックの内容を表示できる、というだけでは意味がなく、そのビークルでもっとも美しい表示(組版)が求められる。コレは生半可なことではない。実際、どれだけ美しい組版技術を実装しても、それに見合ったフォントがなかったために、T-Time 5 ではついに秀英明朝フォントまで実装してしまった。PC版の T-Time の表示能力、その柔軟性は、まさに極まっているのである。

そのビークルに組版機能を組み込むのが難しいなら、PCで美しく組んだ版面を用意してしまえばいい、ここにコロンブスの卵が屹立した。

ページイメージを画像データに書き出す技術は、エキスパンドブックの時代から実装されていて、T-Time にも印刷機能としてそれは組み込まれていたのである。ボイジャーがやったのは、これをあらゆるビークルに最適化して書き出せるよう調整すること、ただそれだけだったと言ってもいい。このカード(切り札)は、10年も前からボイジャーは隠し持っていた、いや、みんなの前に提示さえしていた。時代がようやく追いついてきた、そういうことなのである。ページをめくる冒険が、ふたたび始まろうとしている。

なお、本日4月15日から正式版が公開開始の予定だったが、12時の時点ではまだ公開されていないようだ。

追記:その後、15日中に無事公開にこぎつけた模様。ボイジャーのみなさん、おつかれさま。そしてありがとう。
posted by 多村栄輝 at 14:10| Comment(0) | TrackBack(1) | Note | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする